それは地域交通を支えるバス会社にとって苦渋とも言える決断だった。
いわき市の「新常磐交通」。
いわき市と福島市を結ぶ高速バスを毎日4便これまで運行していた。しかし…。
新常磐交通の門馬誠常務取締役は「利用実態が『いわきー福島線』がかなり厳しくてですね、利用者が非常に低迷していると。当面、11月1日から3月31日まで運休させていただいて」と話す。
東北運輸局がまとめた福島県内発着の高速バスの利用者数の推移。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2020年度は前の年度比べて約50%と大幅に落ち込んだ。その後は回復傾向にあるが、感染拡大前の60%程度にとどまっている。
新常磐交通によると、いわき~福島の路線は1便の平均が10人未満で、厳しい状況が続いていて、運休は苦渋の決断だった。
新常磐交通の門馬常務は「色んな企業とか行政関係とかの会議が、ほとんどインターネットと。特に福島の場合は行政機関とかありますので、そこへの流動が多分減っているのではないかなと思ってます」と話す。
新常磐交通の運休により、この路線は福島交通が運行する最大8便だけになる。福島市のJR福島駅前のバスターミナルでは、利用者にダイヤの見直しが呼びかけられていた。
乗り場アナウンス:「11月1日より10時10分発、12時ちょうど発、18時45分発、新常磐交通担当便が運休となります」
運休に、街の声は…。
「困っちゃいますね。活気がね、あるような企画をやってほしいですね」「交通手段がなくなるっていうのはちょっと、自分車持ってないので、そういう遠出とかに手段が減るのは不便かなという感じはします」「県庁に直接用事がある人とかは、これから面倒くさくなっちゃうんじゃないかな」
一方、バス会社を取り巻く経営環境をめぐっては、赤字路線の解消の他にも大きな課題がある。それが、“人手不足”だ。4月から始まったドライバーの働き方改革で人手不足に拍車がかかり、一部の路線バスの減便や廃止を余儀なくされた。
その実態が広く知られると反響が広がり、地域交通を支えるバス会社に関心を示す人などから応募が寄せられ、新たに8人のドライバーを採用。11月から5つの系統で運行を再開できるようになった。
感染拡大の影響が残るだけでなく、人手不足にも直面しながら路線維持に向けた模索は始まったばかりだ。
新常磐交通の門馬常務は「どういったらPRができるのか、利用者が増えていくのか、そこは見極めたいと思います」と話した。
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