処理水の海洋放出から半年。「関係者の理解なしにいかなる判断もしない」とした、国と東京電力の約束は何だったのか?福島県内の漁業者を含む約360人の原告が、処理水の放出の差し止めなどを求める全国初の裁判が3月4日から始まる。
<全国初の裁判>
2023年9月。福島県の内外の漁業者や住民などが、東京電力に「処理水の海洋放出の差し止め」、また国には放出設備について合格と判断した「使用前検査終了証の交付取り消し」などを求め提訴した。
<もう一度被災するようなもの>
「海洋放出を強行するということは、被害者や被災地に対して、新たな被害を与えることだと思います」と訴える、原告の一人・織田千代さん。法廷で意見陳述を行う。織田さんは「原発事故があって、それでもみんな努力して何とかしようとしている。海洋放出はもう一度被災するような気持ち」と話す。
<安全基準に合致>
処理水の海洋放出については、IAEA・国際原子力機関が国際的な安全基準に合致し「人や環境への影響は無視できるもの」と評価。
東京電力は、2024年2月28日から2023年度最後となる4回目の放出を始め、これまでのところ周辺海域のモニタリングに異常は確認されていない。
<東電への不信感>
一方、福島第一原発で相次ぐ、廃炉作業に伴うトラブル。東京電力への「不信感」を募らせる織田さんは、裁判を通して改めて「処理水」と向き合うきっかけになってほしいと考えている。「色々な問題が、整理されていくことも大事。今生きている大人たちが、これを意識して注目してもらえれば良い」と織田さんはいう。
裁判は、2024年3月4日に福島地方裁判所で第一回口頭弁論が開かれる。
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