<コンクリート片が落下する事案>
緊急修繕の発端が、2024年6月に起きた三河台小学校での出来事だという。
教育委員会などによると、老朽化で校舎4階の軒下から10センチから15センチほどのコンクリート片が落下した。幸いケガ人はいなかったが、児童が巻き込まれた可能性もある。
これをきっかけに点検したところ、小学校は43校中すべて、中学校は19校中18校、幼稚園も10園すべてと、ほとんどの施設で修繕が必要ということが分かった。
<点検も追いつかず…>
学校の点検は3年に一度行い、必要な修繕を進めるのだが、老朽化で追いついていない実情があるようだ。築40年以上の校舎は、福島市内の小学校で約7割、中学校で約9割を占めている。
<工事が終わるまで児童を守る>
校舎からコンクリート片が落下した、福島市の三河台小学校。笠原聡美校長が案内してくれたのが、その現場だ。「本校の職員の車の上に落ちてしまったということになる。子どもたちも含め、教職員や地域の方々に本当に当たらなくて、本当にそこはよかったと安堵しているところ」と話す。
築54年の校舎は、これまで大きな改修や修繕はしてこなかった。375人の児童が通う三河台小学校では、コンクリート片が落ちた場所を含め、校舎の軒下に子どもたちが立ち入らないようロープなどで囲い、安全を守るとともに注意を呼びかけている。
笠原校長は「コンクリート片などが落下する危険がある個所が、何か所かある。子どもたちが通っているときに落ちてこないかが一番心配。今は、とにかく立ち入り禁止区域をはっきりさせている。一刻も早く、子どもたちが自由に動き回れる遊び回れるような環境にしていただければ」と話した。
福島市の担当者によると、修繕は今後数年かけて対象の小学校などで行われるということだ。
<児童数減少 今後どうしていくか>
築40年以上の校舎が多いというが、がちょうど第二次ベビーブームで子どもの数が増え、増設された時期。学校施設の老朽化は、福島市だけではなく、県内や全国的な問題となっている。
教育行政に詳しい福島大学人間発達文化学類の神山真由講師は、人口が減少していく中で、学校など公共施設の維持が自治体にとって大きな負担となり、今後統廃合が進む可能性が高いと指摘。
そうした中でも神山講師は「学校は地域としても、かなり大きな影響力を持っている。財政的な面だけで統廃合を進めるのではなく、地域住民との理解・共通認識を図りながら進めていくのが重要。学校の修繕や管理運営にかかる費用を、どこがどのように出していくのかという所もしかしたら考え直さなければならないときに来ている」と話し、財政面の負担だけでなく、地域のシンボルでもある学校の在り方は慎重に検討する必要があると考えている。
現在、福島市内では福島第一・第四・清明小学校の再編のあり方が検討されているが、必ず地区に一つの学校があることを目指すのか?あるいは時代に合わせていくのか?老朽化で経費が増えるなか、考える時間は多くないのかもしれない。
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