<夏休みの宿題は…なつともが定番>
夏休みの宿題と聞いて、福島県民の多くの人が口にする「夏休みの友」は、70年以上前から県内の多くの学校で採用されていた宿題用の冊子だ。
小・中学生の夏の定番だが、苦い思い出がある方も多いようで…「親からは毎日やるように言われるが、結局最後の2~3日で追い込みかけてやるっていう」と福島県民あるあるなエピソードを話す人も。
<これだけ?夏休みの友に変化>
そんな皆さんに、2024年の「夏休みの友」を見てもらうと…「え、これだけ?」「国語とか算数の問題が入ってない?私の時は入っていた気がします」と、すぐに違いに気付いた様子。
昭和50年代からの夏休みの友を保存している、発行元の福島県教育会館の大橋祐一事務局長は「多分皆さん手に取ったときに、ずいぶん薄くなったなっていうことだと思います」と話す。
<問題演習から活動の手引きに>
夏休みの友はこれまで、算数や国語などの問題演習を中心に構成されていた。しかし2024年はその要素をすべてカット。子どもたちが興味を持ったことを探求したり、ふるさとについて理解を深めたりする活動の手引きに生まれ変わった。
その結果、ページ数は2023年の半分以下に。全学年で合計44ページから16ページになった。
<他の学習との差別化のために>
豊富な市販の問題集や、コロナ禍で普及したタブレット端末を使った学習との差別化を図るため、大転換に踏み切ったという。
福島県教育会館の大橋さんは「逆に夏休みの友は、タブレットのドリル的な学習とか市販のドリルとか、そういうものではできないことをやりましょうということで」と説明する。
例年今の時期から、翌年の夏休みの友の製作に向けた作業が始まるが、2024年は現場からの反応を見て進めるという。
大橋さんは「探究的・体験的な活動を、それから郷土の福島を知って愛着がもてるように。その道しるべになれば」と話した。
<新・なつとも どう活用するか課題>
基本的な5教科の勉強などは他で補うようになるため、宿題としての夏休みの友の立ち位置は変わってきそうだ。教育会館の大橋さんは「新しくなった夏休みの友の活用方法を探るのに、教育の現場では時間がかかるかもしれない」と話していた。
<購入した問題集を解く子も>
実際に子どもたちは、どのようにして夏休みの学習に取り組んでいるのか。福島市にある学童クラブ「清明っ子」では、夏休みの間は午前に勉強、午後は自由時間としていて、思いっきり遊ぶ子どももいれば、勉強を頑張る子もいる。
夏休みの友について子どもたちに聞いてみると「宿題の量が減った。めちゃくちゃページが少なくなった。少し楽な気持ちになった」という。宿題が少ないのはうれしいという子が多いかとおもいきや「嬉しいという気持ちもあるけど、2学期の勉強もちょっと心配になる」と答える子も。
漢字の書き取りや計算問題などの宿題が少ない分、夏休みは購入した問題集を解くという子どももいた。
<学童でも指導に変化>
福島県学童クラブ連絡協議会の山田和江会長は「夏休みの友の内容が、家の中でお手伝いをしましょうとか、自然に触れ合いましょうというもので、学童の中でやるというのはなかなか、できないところがある」と話し、ほとんど宿題を教えることがなくなったという。山田さんは「お家の中でコミュニケーションやお手伝いを通してだとか、外に出て自然体験を通してなど、そこから色々な学びがあるのかな」と話した。
実は、夏休みの友を教材として使用するかどうかは各自治体や学校が判断している。現在は福島県では県北地域の小学校を中心に採用されているが、発行部数が減少しているという現状もある。内容は時代に合わせて変化していくが、「夏休みの友」が変わらず子どもたちの「友だち」として学習をサポートしてくれることを期待したい。
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