<平成23年7月新潟・福島豪雨>
711.5ミリの雨を記録した只見町。わずか4日間で7月1カ月分の2.5倍に相当する豪雨となった。福島県内の行方不明者1人、土砂崩れや浸水などの住宅被害が相次いだ。JR只見線の橋梁も流され、全線再開通は11年後の2022年だった。
<線状降水帯の被害を受けやすいエリア>
2011年のような線状降水帯は、新潟県の佐渡島周辺の日本海で発生する傾向がある。それが流れ込んでくる可能性がある福島県の会津地方は、県内の中で線状降水帯の被害を受けやすいエリアになっている。
被害を繰り返さないため、現場ではハードとソフトの両面から対策が進められていた。
<只見川流域で進む工事>
金山町の越川地区を流れる川で、福島県が2019年から始めたのが、水の流れをスムーズにするための工事だ。2011年の豪雨で、氾濫が相次いだ只見川流域では現在全体の約4割まで工事が進んでいて、早期の完了を目指している。
福島県会津若松建設事務所の星英雄さんは「今後も流域の皆様が安心して生活できるように、河川工事のハード整備をはじめ浸水想定区域や水防訓練のソフト対策もあわせて進めていきたい」と話した。
<まさか…を教訓に自主防災>
2011年の豪雨で、金山町全体では100棟以上の住宅が被害を受けた。齋藤伸さんの自宅は、床上3メートルまで水に浸かったという。「水位が道路くらいまで上がるだろうとは思っていたが、まさか家まで上がってくるとは思っていなかった」と齋藤さんは振り返る。
繰り返されるかもしれない“まさか”の災害に備え、町からのアドバイスも受け自主防災組織を2022年に立ち上げた。さらに、地区の住民が避難しやすい環境を整えるために、高台の神社を新たに避難所として活用することにした。
齋藤さんは「只見川の水位が上がれば、橋は渡れない。そうすると一番近いのは神社。歩いても来れますから、車での移動もしなくても避難できる」と話す。
今後は、発電機を神社に設置し、3日間は避難できる環境を整えていく計画だという。「人の命が一番。災害で人が亡くなるとか行方不明とか、そういうこともないようにしていきたい」と齋藤さんは話した。
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