<福島県の小中学生は算数・数学が苦手>
2023年と比べてみると、国語は中学校が少し順位を上げたものの、小学校は17位から39位と大きく順位を下げている。また、算数・数学については小学校は27位から43位と大きく下がり、中学校は最下位に近いところで推移するなど苦手科目と言えそうだ。
<夏休みの中学校で学習会>
会津若松市立第六中学校で行われたのは、その名も「本気学習会」。夏休み中の学習効果を高めようと、希望する生徒を対象に開かれたもので、重点科目は数学だ。
坂内努教頭は「課題のひとつの教科。考える力や表現する力というのも数学に求められると思うので、特に数学でということで企画した」と話す。
<理数系の大学生が授業>
数学の基礎と応用でクラスを分けたが、応用の授業を担当したのは会津大学の学生だ。理系の学生ならではの視点で、わかりやすく指導している。
生徒たちからは「気軽に話しかけやすいので、わからない時もちゃんとわかりやすく教えてもらえるっていうのが、学生の先生の強み」「改めて解き方が理解できたので良かった」「自分のペースに合わせて教えてくれたので良かった」との声が聞かれた。
<大学生にもメリットが>
ボランティアとして参加した、数学の教員も目指す会津大学4年の村上友耶さんは「僕は単純に数学が楽しいって思ってくれれば、それで良いのかなって思っている。今回受験対策という部分で、実用的な部分も入れながら授業させてもらった」と話し、自身の教え方の勉強にもつながっているという。
この中学校では、学生や退職した教員などによる「サポートティーチャー」の協力を受けながら、2学期以降も数学の強化に取り組む計画だという。
<今の授業は小1からの積み重ね>
このような取り組みが行われるなか、なぜ「算数・数学」が苦手な状況が続いてしまうのか?算数や数学の教育について専門に研究している福島大学・人間発達文化学類大学院教職教育専攻・森本明教授は「基盤となる知識技能は大事なこと。何度も子ども自身も自分自身に問うし、教師も身についているかということを絶えず授業の繰り返しの中で問うていく。その中で大事なことを、みんなで確認することを大事にしていく必要がある」とし、今取り組んでいる内容は、小学一年生の算数から積み重ねられた内容であるため、分からない点があればそのままにせず何度も立ち返って理解を深めることが大切だと話している。
また、福島大学の森本教授は「協同する先生方のコミュニティがあれば良いなと思う。その構築ができているかどうかという所が、今まさに福島の算数・数学の課題として私たちが問うていかないといけない。課題解決につながる一歩なんだと私は思う」と話し、現状を変えるためには先生同士の繋がりも必要だとしている。
今回の結果を受け、福島県教育委員会の大沼博文教育長は「資質・能力を十分に育成できているとは言えない。結果を重く受け止める」とコメントした。今後、県の状況を分析した上で、8月5日に臨時の対策会議を開いて、課題の共有と今後の対策を協議する方針だ。
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