大会には岩手県からも約90人が出場することになっています。全国の舞台で戦う県代表の選手たちの熱い思いを紹介します。
電動車椅子に乗り練習に励むのは、岩手県選手団のキャプテン、遠藤豊さん(37)。ボッチャ競技の代表として大会に出場します。
全国障害者スポーツ大会県選手団キャプテン 遠藤豊さん
「代表として戦える。ワクワク ドキドキな気分」
ボッチャは、目標となる白い球に自分のボールをどれだけ近づけられるかを競うスポーツです。
遠藤さんは遠くのボールに当てる練習やボールの間を通す練習を繰り返します。
現在、滝沢市で暮らす遠藤さんは、運動機能が徐々に低下するベッカー型筋ジストロフィーという難病です。中学生の頃から次第に歩くことが難しくなりました。
全国障害者スポーツ大会県選手団キャプテン 遠藤豊さん
「クラスメイトから『おかしい』だとか『変だ』とか言われることはありました。辛い思いは(周囲には)分からないところが多分にあって、もんもんと溜め込むみたいになって」
ふさぎ込む遠藤さんを支えた人がいます。3つ年上の兄・光さんです。同じ病気を患っていました。
全国障害者スポーツ大会県選手団キャプテン 遠藤豊さん
「『障がいを抱えているのはひとりじゃない』それが大きかった」
“障がいがあってもスポーツをしたい” 遠藤さんはパラリンピックでボッチャを知り、7年前から競技を始めました。
全国障害者スポーツ大会県選手団キャプテン 遠藤豊さん
「ボッチャ始めたことで外出の機会が増えましたし、外出すると人と交流する機会が増えます。すごい熱もってやってるなとか、呼吸器(つけて)重い障がいがある人たちでも、全然そんなのお構いなしにやってる姿を見ることができる。もっと頑張んなきゃとか思う」
遠藤さんは県選手団を代表して決意表明を書きました。これまでを振り返り今を見つめる内容です。
県選手団代表の「決意表明」 遠藤豊さん
「障がいを受け入れることはとても大切ですが、大変難しいことでもあります。しかし、スポーツを通して自分を知り、障がいを知ることでゆっくりと受け入れようとする気持ちが生まれます。スポーツをすることは、人を前向きにしてくれる大きな力を備えています」
今回の全国大会には、遠藤さんをはじめ約90人が県代表として出場します。
前沢明峰支援学校・高等部1年の千葉すずさんは、知的障がいがある人のバドミントン大会で日本一に輝いたこともある岩手期待のアスリートです。
今回は、陸上競技の知的障がいがあるクラスで100メートルと200メートルに出場します。
盛岡視覚支援学校・高等部専攻科1年の阿部玲菜さんは、陸上競技の砲丸投げに出場します。
阿部さんは、9月開催された障がいの有無に関わらず同じ舞台に立つインクルーシブ陸上記録会に出場し見事優勝しました。
盛岡視覚支援学校・高等部専攻科1年 阿部玲菜さん
「(自己記録は)2.7キロで、去年7m11cm。自己新記録を取れるように頑張っていきたい」
自分の目標を見つめ、全国の頂点を目指します。
車椅子で日々練習に励むのは、一関清明支援学校・高等部3年の白石朋毅さん。
6月の県障がい者スポーツ大会の50メートル走に出場し、1位に輝き県代表に選ばれました。全国大会では50メートルの肢体不自由クラスなどに出場します。
それぞれの思いを胸に全国に挑む県代表の選手たち。
キャプテンの遠藤さんの決意表明は次のような言葉で締めくくられています。
県選手団代表の「決意表明」 遠藤豊さん
「私たち選手一同は、第23回全国障害者スポーツ大会「SAGA2024」において、真剣に競技に挑戦する姿を通して、県民の皆様にスポーツの素晴らしさや楽しさに加え、人を前向きにしていける大きな力があることが伝わるよう、岩手県代表として自分の持てる力を最後まで発揮し競技いたします」
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