岩手県で相次ぐ鳥インフルエンザ 専門家「対策は困難」「買いだめ控えて」 大規模な殺処分進む (25/01/23 21:17)

岩手県盛岡市の養鶏場で1月22日に新たに高病原性鳥インフルエンザが確認されたことを受けて、23日も66万羽の殺処分が進められています。
なぜこれほど感染が広がっているのか、専門家に見解を聞きました。

相次ぐ感染確認を受け農林水産省は22日、県庁内に庄子賢一農林水産大臣政務官をトップとする現地対策本部を設置しました。
農水省の職員4人が常駐し、県と連携して対応に当たります。

庄子賢一農林水産大臣政務官
「地域全体のウイルス量が多いということはもう疑う余地がありません。拡散をさせないための消毒これを徹底したいというふうに思っております」

県内では22日、今シーズン4例目と5例目となる感染が、盛岡市の2つの養鶏場で確認されていて、あわせて約66万羽の殺処分が進められています。

作業には県職員や各市町村からの派遣職員、自衛隊員があたっていて、達増知事が23日に激励に出向きました。

殺処分は23日午前9時時点で17%終了しています。

達増知事
「一人の力が全体の不可欠な力となっているとしっかり受け止め、大いに力を発揮してほしいと思います」

県内で発生した5件のうち4件は盛岡市内の半径3キロ圏内に集中しています。
ウイルス学が専門の鹿児島大学・小澤真教授は、「今シーズンは局所的な連続発生が多い」としたうえで、ウイルスの特徴をこう指摘します。

鹿児島大学 小澤真教授
「感染したニワトリが弱ったり死んだりするまでに、今まで以上に長い時間がかかっている。農家が異常に気付いた時点で鶏舎内でウイルスがまん延している状況が想定できる。まん延してしまっている農場からウイルスが外に出されてしまって、それが新たな農場の感染源になっていることは十分想定しなければいけないと思う」

また養鶏産業に詳しい元東京農業大学教授の信岡誠治さんは、野鳥の間でのまん延が拡大につながっていると指摘します。

元東京農業大学教授 信岡誠治さん
「(野鳥の)ふんの中にウイルスがいっぱいいる。それが乾燥してほこりとなって(養鶏場に)入る。(感染経路は)空気なんです。完全に防御するのは非常に難儀している」

さらなる拡大を防ぐため小澤教授は各養鶏場で異変を察知することが重要と語ります。

鹿児島大学 小澤真教授
「卵の産まれる数が急に少なくなったとか、群れ全体の声が小さくなっているとか、できるだけ早く異常を突き止めて、ためらわず検査を受けていただくのが重要」

また、今後心配されるのが卵の価格です。

元東京農業大学教授 信岡誠治さん
「(鳥インフルの)発生度合いから言えば(1kg)50円60円上がっても不思議はない。部分的には需給がひっ迫しています。価格はこれから上がってくるという状況にある」

その一方で、信岡さんはただちに流通量に大きな影響があるわけではないとして冷静な対応を呼びかけます。

元東京農業大学教授 信岡誠治さん
「買いだめする必要は全くありません。変わらず普段通りに買って食べてもらうことが一番の生産者への貢献になる」

県によりますと、鳥インフルエンザは国内で人に感染した例はなく、今回感染したニワトリの卵や肉が市場に出回ることはないということです。

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